「神経障害性疼痛」とは
2014年04月12日
最近、患者さんからの質問で多いのが、「神経障害性疼痛」についての質問です。武田鉄矢さんを使ってたくさんCMが流れているせいだと思います。「神経障害性疼痛」とは、中枢神経や末梢神経の何らかの障害や損傷によって生じる持続した疼痛のことを総称していいます。ですから、神経の損傷や、障害には元となる原因疾患があります。例えば、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症による坐骨神経痛、帯状疱疹、糖尿病などさまざまです。要は神経が何らかの原因によって、損傷や障害を受けているということです。そのような、神経障害によって生じる疼痛は、時には激しい痛み、しびれを伴ったり、焼けるような痛みが長時間持続することもあります。そんな、神経障害性疼痛の治療薬のCMなのです。
具体的には「プレバカリン」(商品名 リリカ®)という薬なのですが、簡単に言えば、疼痛信号の中枢神経系への伝達を抑制し、痛みを抑えるという薬です。もちろん、我々整形外科医は、神経障害性疼痛が疑われる患者さんに対して、その原因疾患の特定を行い、薬による治療のみではなく、ブロック注射やリハビリテーション、手術など、総合的に判断をして治療方針を決めます。今までそういった慢性疼痛薬に対して処方薬の選択の幅が狭かった中で、「プレバカリン」発売以降、処方する機会が増えています。もちろん、薬には副作用もありますので誰にでも十分な効果が期待できるわけではありません。副作用をみながら投与量や、服薬時間などの微妙な調節が必要な薬です。
世の中には「痛み」で困られている患者さんがたくさんおられます。みんなが正しい「痛み」の治療をされているとは限りません。中には原因疾患のアセスメントのないまま漫然と薬や、整体等の施術を受けられている方、考えられない高額な治療費を払い民間療法で治療を受けられている方等、様々です。
「痛み」に対して数多くの薬や治療法がありますが、まずはその痛みの原因が何かを理論的に考察し、その程度や患者さんの背景を把握した上で一番適切な治療法を選択することが何より大切ではないかと考えております。