組体操の是非
2015年10月20日
今年は八尾市の巨大ピラミッドで多くの負傷者が出たりして、組体操の是非が大きく議論されるようになりました。運動会のシーズンともなれば、われわれ整形外科医は多くの子供たちを診察します。組体操の負傷者だけではなく、他競技での打撲や骨折、靭帯損傷などの子供たちも多くいます。組体操だけが多い印象はなく、他の競技でも骨折などの重症者は多く発生します。
「組体操は即刻禁止すべき」といった評論家の意見も多く目にするようになりましたが、私は若干違和感を持っております。教育現場の方向性として、ただ「危ないから禁止」することが正しい教育現場のあり方でしょうか? 他にも危険を伴う競技、スポーツはたくさんあります。スポーツ自体ある程度危険が伴うものです。それらのスポーツはすべて禁止になっているでしょうか? 大切なことは、「危ないから禁止」するのではなく、「どうすれば安全に行うことができるか」をもっと科学的に検証することだと思います。現代スポーツは「科学」の時代です。組体操だったら何段なら安全に、怪我をしても最小限の軽傷で抑えられるか、どのような練習法が転落等を防げるか、どのような段組みが物理的に安全か、などを科学的に検証し、安全性が保たれる範囲で継続するといった選択肢があってしかるべきではないかと思います。