ポリオ不活化ワクチン

2012年04月24日

厚生労働省は、ポリオ(小児まひ)感染の可能性がある生ワクチンに代わり、不活化ワクチンへの一斉切り替え時期が9月に決定したという報道がされました。先進国で生ワクチンを定期接種に使い続けてきたのは日本だけ。アジアで生ワクチンを使用しているのは北朝鮮ぐらい。なぜ、日本ではこれほど不活化ワクチンへの切り替えが遅れたのか?ごくまれとはいえ、不活化ワクチンによりポリオ感染による麻痺が発症してしまう患者が発生しているのに・・・。

日本ではポリオが大流行した1960年代前半、不活化ワクチン導入の動きがあったが、十分な効果を上げられず、生ワクチンで流行を抑え込みました。その後、患者数は激減。81年以降、自然感染は確認されておらず、主流となった生ワクチンの接種が続いてきた。そのなかで、わずかとは言え、不活化ワクチンによるポリオ感染が発生。その後、国内メーカーが不活化ワクチンを開発するも断念。結局海外メーカーのワクチンが承認された。国内開発へのこだわりが不活化ワクチンの導入が遅れたのか。生ワクチンによりポリオの患者数は激減し、国内で自然感染していないのは事実。ある一定の確率でワクチンによる感染が発生するのはやむを得ないという判断だったのか?いずれにせよ、確実にポリオ感染が避けられる方法があるのに、国策として生ワクチンを続けていることに疑問を感じます。自然感染がないこの時代に、感染予防の生ワクチンで感染させられるのはあまりにも理不尽な話ではないでしょうか。それはもはや予防接種ではありません。また、9月から不活化ワクチンに切り替わると知って、この春に生ワクチンを接種することに不安を感じない親がいるでしょうか?ポリオは夏に流行する病気です。その夏を前にこの春の接種率が低くなり、生ワクチンを接種した子からの接種してない子への2次感染という可能性も考えられます。それに関しては無策としか言えません。結局現場で不安や混乱を来している気がします。

不活化ワクチンへ切り替えるなら今すぐ切り替えるべきで、それが無理なら不活化ワクチンを自費で接種した子にも公費が還付されるなどの措置が必要ではないかと思います。もう、これ以上予防接種によりポリオに感染する患者が一人たりとも生まれないために・・・。 今日は少々熱くなってしまいました!!
(※当院ではポリオ不活化ワクチン接種は行っておりません。)

中神クリニック
西神中央、西神ニュータウンの整形外科
神戸市西区狩場台3-9-8