新型骨粗鬆症
2016年05月18日
昨晩、某ゴールデンタイムの健康番組で「新型骨粗鬆症」について放送されていました。早速、当院にも相談等がございましたので、簡単に説明させていただきます。
骨密度が高くても、骨折しやすい骨粗鬆症が注目されており「新型骨粗鬆症」といわれております。今回の番組は、私が大学病院時代から現在に至るまで大変お世話になっている慈恵医大の斎藤充准教授が講師でしたので、私もしっかり拝見させていただきました。
では、「骨密度が良くても骨折しやすい骨粗鬆症」とはどういうことでしょうか? 骨は良く鉄筋コンクリートに例えられます。コンクリートに相当するのがカルシウム、鉄筋(梁)に相当するのがコラーゲンです。コンクリートがしっかりしていても、鉄筋がさびればコンクリートの強度は落ちます。骨密度はコンクリート部分を測定しており、鉄筋の強度は測定できないのが現状です。ですから、コンクリートがしっかりしていても、何らかのコラーゲン異常があれば骨は脆く、骨折しやすくなります。この、鉄筋(コラーゲン)がさびて脆くなる骨粗鬆症を骨質劣化型骨粗鬆症(新型骨粗鬆症)と呼び、世界ではじめてその仕組みを解き明かしたのが斎藤充先生なのです。
そして、そのコラーゲンの質を左右するのがコラーゲン同士を結ぶ架橋分子であり、「悪玉」と「善玉」架橋があることを突き止めました。悪玉架橋はコラーゲン同士をばらばらにつなぎ、骨を瀬戸物のようにもろくする。その仕組みを動物実験と臨床研究で明らかになりました。
一般的に、糖や活性酸素などで骨のさびが生じやすい糖尿病、高血圧、動脈硬化、腎機能障害、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの患者さんは、全身性にコラーゲンが過剰老化が生じるため、骨密度が高くても、骨粗鬆症の可能性があるので特に注意が必要というわけです。
現在はその、骨質劣化型骨粗鬆症(新型骨粗鬆症)を調べる検査方法が、まだ健康保険では適応になってません。骨密度検査を基本として、数値が良くても既往歴(生活習慣病等の既往歴、骨折の既往歴とその罹患期間、時期)などを総合的にみて骨折のリスクを判断いたしますので、ご心配の方はお気軽にご相談下さい。